[No.14]
心ない天使
【登場人物】
セフィロス、レブレサック神父
レーべの村、古ぼけた教会。
レブレサック神父は、己が邪悪な大魔王の掌の上に居る事、
決して逃れられぬ生贄の運命を享受しながらも、平静としていた。
偉大な父の御前で、こうしていつもと変わらず、祈りを捧げていられることの幸福。
死に対する恐怖は、全く無かった。
レブレサック神父は、真にあるべき聖職者の姿、そのものであった。
彼が祈りを捧げる聖堂の十字架から、突然、眩いばかりの神々しい光が放たれた。
レブレサック神父の体を、黄金の光が包み込む。
「おお……神よ……」
黄金の空から天使がゆっくりと舞い降り……優しく微笑みながら、彼を抱擁する。
レブレサック神父は、かつて無い至福と恍惚の中に居た。
彼は気付いていなかった。その天使が、彼の生命を奪い取る、邪悪の使徒であることを。
「心ない天使」
天使が消えた時、彼は十字架の前に横たわっていた。
もはや、指を動かすことも、声を上げることもできなかった。彼のぼやけた視界に、漆黒のブーツが映った。
片方のブーツが見えなくなる。そこで彼の知覚は、永遠に終った。
漆黒を纏う男は、片方の足に付いた肉片や脳漿を、絨毯に擦りつけ拭き取りながら、神父の亡骸の傍にあった袋を手にした。
彼は美しい銀髪を靡かせ、颯爽と教会から出て行った。
【セフィロス 所持武器:(2個所有) 現在位置:レーべ教会付近】
【レブレサック神父:死亡】
【残り108人】