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[No.5]
 勇者の記憶
【登場人物】
アルス

アルスは、アリアハンの自宅、自分のベッドの上に横になり、必死で記憶の糸を手繰っていた。
 バラモス討伐へ向かい、帰ってこなかった父親のこと、仲間との出会い、船旅、ジパングの溶岩洞窟……
 そして、バラモスとの死闘……。
 バラモスを倒し、アリアハンに凱旋したところまではハッキリしている。
 それ以後の、たったひとつの確かな記憶は、
 異界で、自分の愛用した武具やアイテムを、様々な賢者達に託してきた、という事だけだった。
 どんなアイテムだったかは、やはり思い出せない。
 だが、この小さなメダルは、その中のひとつだったような気がする。
 それを何故、ゾーマが所持していたのか。ゾーマとは何者なのか。
 不思議なことだが、ゾーマのことを考えていると、
 彼をこの手で葬らなければいけない、という使命感が沸々と沸いてくる。

首輪に触れてみた。冷たい感触が、アルスの指先に走る。
 (……ゾーマに引導を渡すのは、僕だ)
 その時、階下でドアの開く音がした。
 アルスは、袋の中から『鋼の剣』を取り出し、ゆっくりと構えた。
【アルス:生存
 現在位置:アリアハンの自宅2階
 行動方針:基本的に自衛のみ】

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