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[No.10]
 リベンジャー
【登場人物】
ダイン

深い闇に包まれた森の中。
そこに木々に包まれるかのようにして建っている祠から一人の男が飛び出した。
そのまま前方に走り――突然右に方向転換し、森の中に消えていった。
この男、ダインは予想していた攻撃も無く、誰かが追ってくる気配も無い事に軽く安堵した。
しかし警戒を緩めず、森の中を駆け抜けていった。

最初の人間がこの祠から出て、既に大分時間が経っていた。
もし自分より先に出た誰かの支給品に強力な武器が宛がわれていて、
しかもその人間が『やる気』になったとしたら。
まずは自分より後にこの祠から出てくる人間を狩り始めるだろう。
その考えに至ったのは、もし自分がそうだったら同じことをしようと思っていたからだ。
結局、自分の名が呼ばれた頃には大半の参加者が出た後だった。
おかげで今は逃げに回るしかなかったのだ。

どのくらい走っただろか。
少し乱れた呼吸を意識的にただし、傍に立っていた木の根元に腰を下ろし、幹に体を預けた。
自然と上を向いたダインは木々の間から見える星空を眺め、
そして受け取ったザックから自分に支給されたアイテムを取り出した。
「…量産されているハンドガンタイプか。余計なパーツを外せば左腕に付けられるな」
そう言ってダインは常に持っている工具を取り出そうと懐をさぐり、
「ちっ。ご丁寧に全部持ってきやがったか」

悪態をつくと、着ているベストの一部になっている薄い鉄板を外すと
器用にパーツを外しにかかった。
左手を失い、手術により機械の腕を手に入れた時からずっと
銃の手入れはずっと自分でやってきたのだ。
ダインは右手を動かし続けながら、しかし意識はここに来た経緯を思い返していた。

一番最後に覚えているのは、崖から落ちる自分の名を呼ぶ旧友の声。
あの時はやっとエレノアの処へ逝ける。それだけを考えていた。
しかし今は何故かどう見てもあの世には見えない処にいる。
どうしてこんな所にいるのだろうか?
「俺には死ぬ事も許されてはいないのか…」

それとも――

ここまで考えて、ダインは唇の端を笑みの形に歪めた。
「あの女に復讐する機会を与えてくれたのか?」
炎に包まれる、自分が守らなければいけなかった村。
銃声と悲鳴。甲高い笑声。赤い服の女。左腕の痛み。
「初めの部屋にいたあの女…。忘れもしない…。神羅の……!!!」
再生される記憶。加速する憎悪。
「こことは違うどこかに…。必ず俺が…殺してやる」
左腕に取り付けられた銃の具合を確かめるとダインはゆらりと立ち上がり、
地図を開くと真っ直ぐ北へ歩き出した。
【ダイン:所持アイテム ハードバルカン(マテリア ?×3)
 現在位置C-12から北へ  第一行動方針:スカーレットを探し出し、殺す】

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