LIST ▽DOWN
[No.12]
 Lady Spider
【登場人物】
スカーレット、マイヤー

ローレシア王子マイヤーは、道無き浜辺を歩いている、その背中に一人の女性を背負って
道端で倒れこんでいた女性を途中で見つけたのだ
「あの…足をひねって動けなくなってしまったの」
そう言って苦しげに顔を歪める女性、無論彼が手を差し伸べないわけがなかった。

そして、とりあえず彼は街道から外れた浜辺を歩いている、とりあえず朝まで安全に休める場所を探して。
一方、彼の救った女性…スカーレットは心の中でぺろりと舌を出す、自分の美貌には自信がある。
一種の賭けだったが、こうやって無防備を装えば誰かが引っ掛かってくれるとは思っていた、
だが、まさかこんな掘り出し物がかかるとは。
若くして巨大企業の重役のポストを手に入れただけあって、スカーレットは人を見る目もそれなりのものがある。
一見するかぎり平凡な少年しか見えない彼の実力をわずかの会話と身のこなしを見ただけで
見抜いていたのだから。

彼女はポケットの中の支給品を握りしめる、これが早速役にたってくれそうだ。

「あそこに小屋があるな、そこで休もう」
マイヤーはスカーレットを背負ったまま、小屋の中に入っていく、中はぷうんと潮の香りがした
漁師小屋のようだ。

マイヤーは床に網を敷いてそこにスカーレットを寝かせる。
「ふふっ、ありがとう、坊や」
「ぼ、僕は坊やなんかじゃ…」
そうやって背伸びするところがまた可愛いとスカーレットは思った、そう…本当に。
一段落ついたところで、スカーレットは策略を実行に移す。
「そういえば、君、少し疲れているんじゃないかしら?」

「そんなことないよ、大丈夫」
「ふふふ、良いものあげましょうか?」
そういってスカーレットはポケットから注射器を取り出す。
「これって良く効く栄養剤なのよ、私も試したんだけどかなりいい感じ」
「本当ですか?」
マイヤーは興味津々で注射器を見つめる。
「これから生き抜くためには体力が必要よ、まずは1本いってみましょうね…
 それとも、坊やはお注射がまだ怖いのかしら?」
少し躊躇していたマイヤーだったが、注射が怖いという一言で、思うところがあったのだろう
その腕をスカーレットに差し出す。

無論スカーレットの言う、栄養剤などというのは真っ赤な嘘だ
栄養剤どころか、今、マイヤーに注入されているのは麻薬、それもすさまじいまでの依存性と禁断症状が付加された
改良型だ。

確かに彼は腕はたつが、まだ十代半ばの少年でしかない。
これまで何度となく襲いかかってきた幾多の困難を切り抜けてきてはいるが、それらの敵はすべて魔物、
彼にとって人間は守るべきものであって、疑う事など考える由も無い。
事実、これまでの冒険で出会った人々はすべて自分たちの味方(実際はそうでもなかったが
2人の仲間がしっかりしていた)であり、愛すべき仲間だったのだから。
その純粋さゆえに彼はスカーレットという邪悪な蜘蛛の巣に捕らえられてしまいつつあった。

「そういえば自己紹介がまだだったわね、私はスカーレット」
「僕は…」
【スカーレット 所持武器:麻薬(残り4回分) 現在位置:U-09
第一行動方針:マイヤーを麻薬漬けにし、利用する 】

【マイヤー 所持武器:バリアブルソード 現在位置:U-09 第一行動方針:人助け 】
(数時間後に禁断症状が始まります)

[Next] [Back] □LIST △TOP


Lady Spider
について管理人にメールする
件名:(選択)
内容: