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[No.19]
 …ごめん。ちょっとへこんだかも。
【登場人物】
ユフィ

「ハアハア、ここまで来れば大丈夫かな?」
南の祠を一番に出たユフィは、夜の闇の中何とか視覚できた北の山まで走ってきたのだ。
森と山の境である入り組んだ地形。
ここにいれば誰かに見つかる事も無いだろうし、もし見つかってしまっても
容易に逃げ出せるだろう。それに、もし自分がここに来た奴を
そいつより先に発見できたとしたら――。

「…ッッ!! なに考えてんだろ、あたし」
急に力が抜けたユフィは適当な岩陰に座り込んだ。
自分が何を考えていたのかと思うとぞっとした。
両腕で体を抱きしめた。震えは収まる所か少しずつ大きくなってくる。
(あたしに…人殺しなんてできるはず…無いじゃないか)
「クラウド…。ティファ…。誰でもいいから…あたし一人じゃ…」
壊れてしまいそうだった。自分の死。他人の死。
今まで死をこんなに身近に感じたことは無かった。

「そうだ。なんかアイテムが入ってるって…」
祠にいた男の言葉を思い出し、ザックの中から自分の支給品を取り出した。
「…なにこれ? 巻物?」
ユフィの支給品は幾本かの巻物だった。
表にはなにやら文字が書いてあり、ユフィは目を凝らして読んだ。
「えーと、困った時の巻物…?」
ユフィは慌てて一緒に入っていた説明書を取り出し、懸命に内容を読み出した。

「えーと、困った時に読むとなにかいい事が起きます…?」
ユフィは小躍りしたくなるほど喜んだ。今本当に困っているのだ。
仲間の誰かがここに来てくれるかもしれない。
もしかしたらこのゲームから脱出できるかも。
ユフィは震える手で巻物を紐解き、ゆっくりとそこに書かれている事を読み始めた。

「えーと、ナモナモナモナモ…」
巻物を読み終わった次の瞬間、
ユフィの手にはずっしりと重たい$マーク付きの袋が乗っかっていた。
【ユフィ 困ったときの巻物×4  1092G
 現在位置:K−12 森と山の境 
 第一行動方針:とりあえず隠れる    】

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