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[No.27]
 自分にできること
【登場人物】
ローラ

何もかもが、あまりに唐突だった。
夢を見ているような気がする。でも、夢じゃないのは確かだ。
皆に担がれているのではないのだろうかとも思う。それだったらどんなによかっただろう。

鼻を突く異臭が漂っていた。目の前の黒い物体から。
人の形をした、炭から。
それがゲームに乗った誰かの所業であることは、誰から見ても――ローラの目から見ても間違いなかった。
「勇者様…なぜ、このようなことがまかり通るのでしょう…」
この島に連れて来られてからというもの、目にした光景全てがあまりに非道。あまりに残虐。
竜王が為したいかなる所業よりも、なお惨い――
ガラフの死体を見つめるローラの目から、思わず涙が零れた。
「ごめんなさい……私には何の力もないのです…」
誰かを助けることも出来ない。止めることも出来ない。
ただ、誰かが助けに来てくれるのを待つだけで、誰かが死ぬのを見ているだけだ。
いつも何も出来なかった。

――それならばせめて、今できることだけでもしよう。
そう考えたローラは、この見知らぬ誰かの墓を作ってやることにした。
無力ならば無力なりに、せめて自分ができることだけでもしてみせよう。
それが誰かの救いになるかもしれない。そう信じて。
【ローラ:アイテム:? 現在位置:E-12
 第一行動方針:死者(ガラフ)を弔う】

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