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[No.31]
 獣王の叫び
【登場人物】
プックル

俺の名前はプックル、泣く魔物も黙る獣王、キラーパンサーだ。
そんな俺でも大切な友がいる。

昔、まだ俺がベビーパンサーと呼ばれる幼年期の頃だ。
その日俺は群れと離れ、ある町へと迷い込んだ。
情けない話だが、その頃の俺といっちゃなっていなかった。
他のベビーパンサーに比べ、一回り小さく力も弱い。
歯も生えそろっていなく、まぁ、とにかく他の魔物に比べるととことん弱かったんだ。
スライムにさえ馬鹿にされていたと思うと今でも腹が立つ。

話がそれたな、本題だ。
町に入ると俺はすぐさまその町のガキに捕まった。
ガキは賢く、罠を張っていた、そのガキは俺を連れ、家へと帰った。
俺もあの時は流石に生きた心地はしなかった。

次の日、ガキは俺を連れて町の中央にある広場に行った、酷くいじめられた。
その日、俺は会ったんだ、運命の友と。
運命の友はまだ青臭いガキ二人だった。
一人は紫のターバンをした男。
もう一人は金色の髪を兎の様に二つに分けた女だった。
その二人はあろう事か俺を放してやれと俺を捕まえたガキに言った。
ガキはそれならば……よく覚えていないが確か子供にとっては難しい条件を出したんだ。
俺は正直駄目かと思った、そんな事ができるはずがない、と。
そして二人の友はそのまま宿へと帰っていった。

明くる日、俺は解放された、なんと二人が俺を助けたというのだ。
俺は喜んだ、無邪気に走り回った。
女の方が俺に名前をつけてくれた、それが俺の名前。
――プックル。
その後、俺は男の方に引き渡された、どうやら一緒にいられぬ事情があったらしい。

そして、俺たち一人と一匹は旅をした。
妖精の国に行き、悪い女王を倒し、生意気な王子の救出も試みた。
しかし、旅はすぐに終わった。
何故終わったのかは、俺もいまだによく覚えていない。
気がつけば俺は野原に横たわっていた。
俺は孤独だった、一匹で獲物を狩り、一匹でなわばりを張り、一匹で塒を探した。

そして俺は獣の頂点へと立った。
――もっとも、その頃の俺は肉に飽きて野菜ばかりを近くの村でとっていてあまり貫禄は無かったが。
しかし、ともかく俺は頂点に立った。
数多くの魔物が生息する寂れた洞窟の長となった。

ある日、部下のミステリドールが緊張した面持ちでやってきた。
どうやら若い魔物使いが俺が治めていた洞窟を荒らしに来たらしい。
俺は長として立ち向かった、俺は強いという自信もあった。
そして、俺はその魔物使い、紫ターバンの男と闘う事にした。

今でも思い出すと、何故闘ったのかわからない。
そう、その魔物使いこそ、俺の運命の友その人だったのだ。
友は俺を優しく包み込んでくれた。
もっとも、体は俺の方が大きいので、形としては俺があいつを包み込んだ感じだったが。
そして、俺は友と再度旅をした、俺は友と一生一緒にいる事を誓った。
だから……

――だから待っていてくれ! リュカ!
【プックル 支給武器:? 位置:F-16 行動方針:リュカを探す】
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