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[No.35]
 DOUBT!
【登場人物】
レノ、リンダ、サバロ

木陰にもたれかかり、リンダは眠っている、そしてそこから離れた木の上には、その寝顔を見つめるレノの姿がある。
リンダの寝顔はまったくもって無防備だ、呪文でカモフラージュしているので安心しきっているのだろう。
今なら余裕で殺せる、が、レノは動かない。
「それは最後の手段だぜ、っと」
レノはゴーグルの倍率を上げて、周囲をうかがう、すると自分の後方でなかなか面白い見世物が、
繰り広げられている。

先ほどの猟犬とターバンを巻いた男が戦って、いや戯れている。
男は盛大にマシンガンを撃ちまくっているのだが、悲しい事に犬にはかすりもしていない。
それでさらにムキになって撃ちまくるのが、また哀れで笑いを誘う。
だが、笑ってばかりもいられない、レノは考える。
トリガーハッピーなのか、単なるチキンなのかは分からないが、こういう計算できない輩は放っておくと、
後で思わぬ障害にもなりかねない、それに自分の背後に強力な武器を持った人間を背負って尾行はしたくない。
何より折角の当たり武器なのに、これでは宝の持ち腐れだ。

「やれやれ、一仕事しますか、っと」
レノはだるそうに背伸びをすると素早く木々を飛び移り、件の男の元へと向かった。

一方、
「犬まで…犬まで私をバカにするんですか!!」
サバロは盛大にMP5を撃ちまくるが、それでも目の前の黒犬にはカスリもしない。
やがてトリガーがかちかちと虚しく空回りを始める、弾切れだ。
そしてそれを知ってか知らずか、黒犬はまるでそれを見計らったように悠々とその場を立ち去って行った。
「ちくしょう…私だって私だって、剣や魔法が使えたら……」
サバロの目から涙が零れ落ちる、自分が情けなくってたまらない、思えばあの勇者と出会ったのが
自分の年貢の納め時だったのかもしれない、あいつに…あいつにさえ出会わなければ…。

その時、またがさがさと自分の右手で音がする。
「出たああああっ!!」
やっぱりというか何というかサバロはまたしても撃ちまくる、しかし1通り射撃が終わると。
また少し離れた場所から音が聞こえる。
「お前もか、お前も私をからかうんですか!待ってろよ」
サバロはMP5からM79に武器を持ち変えると、音に誘われるままの方向へ誘われていく、
その時背後に気配!

慌てて振り向くサバロ…いやそうしたかったが出来なかった。
そうM79の長い銃身は狭い木々の中では却って邪魔になる。扱いなれぬ哀しさか、
そのため銃身が木の幹に引っ掛かり、それが致命的な動作の遅れに繋がってしまったのだ。

レノはそのまま後からズボンのベルトでサバロの首を締め上げる、サバロも必死で抵抗するが、もはや勝負有りだ。
やがてレノの手元にずんっという独特の手応えが伝わる、首の骨が砕けたのだ。

無念の表情で息絶えたサバロの遺体を、藪の中に隠し、所持品をルートしながらレノは呟く。
「悪く思うなよ…と」
ちなみに一仕事終えたレノがまた待機地点に戻ったとき、あいかわずリンダは眠り込んだままだった。
【リンダ(睡眠中):所持アイテム:火炎放射器 現在位置:D-11】
第一行動方針:生き残る

【レノ:所持アイテム:多目的ゴーグル MP5サブマシンガン 消え去り草 M79グレネードランチャー
 バックラー 現在位置:D-11】
第一行動方針:リンダを追尾する

【サバロ:死亡】
(残り70人)

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