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[No.36]
 青年と竜騎士と絵師
【登場人物】
リュカ、カイン、リルム

ある青年が祠を出ていた。
青年の名はリュカ、魔物使いである。
少年は多くの参加者がいる場で目を見張った。
自分の父親、己が幼い頃に無残にも殺された誇り高き父親がいた。
その他にも幼馴染であるビアンカや自分の子供、仲間も数多く参加していた。

リュカは一先ず歩いた、考える事は後回しにしたかった。
自分の父親や子供を早く捜したかった、それだけがリュカを急かさせた。

リュカは森へ入った、支給された剣(皮肉にもそれは自分の父親、パパスの剣だった)を使いながら。
前へと進んでいく、とにかく今は進みたかった。
進んでいくとリュカは祠を見つけた、地図にもあった祠である。

中に入ると少し湿った空気が喉に入り、咳き込む。
その刹那、リュカの首に剣が押し当てられた、後ろに回りこまれてしまったのか。
舌を鳴らし、目だけを後ろに向けると青年が睨みをきかせている。
「何者だ」
短い、しかし低く感情を押し殺した声。
リュカはパパスの剣にはあえて手をかけず、名乗った。
「僕の名前はリュカ、ある人を探している」
「人だと?」
「そうだ、それに僕にはやる気はない、離してくれないか?」
「まだ信用は出来ん、それに自分からやる気だと言う奴はおらん」
しばしの沈黙、リュカの額を冷たい汗が流れた。
男は無言で剣を押し当てる、まだ許していないらしい。

「う……うぅ」
その時呻き声に似た声が祠の中から聞こえた。
リュカは動こうとするが、男に止められ、踏みとどまる。
「待て、何処に行く」
「声がする、誰かがいるんだ」
「罠かもしれんのだぞ」
「だけど、重傷で倒れているのかもしれない」
またも沈黙、しかし男は黙って剣をどけた。
それと同時にリュカは声の方向へと駆け寄る。

暗くてよく見えなかったが、近くに行くとはっきりと見えた。
少女が寝ている、いや気を失っているのか?
ともかくリュカは少女を抱きかかえ、二、三度揺さぶった。
「もしもし、大丈夫かい?」
「う〜ん」
少女が目を開ける、リュカは微笑む、男は入り口で警戒をしている。
少女は目があけてしばらく呆然としていたが、ハッキリと意識が蘇ると途端に震えだした。
「どうしたんだい?」
リュカは優しく声をかけた、少女は首を左右に振る。
「お、女の子が……青髪の女の子が、こ、殺されちゃった……
 あ、あたし仲間に入れてもらおうと思って、ち、近づこうと思ったら。
 女の子が、女の人に……」
涙ながらに訴えてくる、よほど怖い思いをしたのだろう。
しかし、リュカはその時悪い予感を感じていた。
――青髪の女の子
「君!その女の子、リボンを二つしていなかったかい!?」
「う、うん、リボンを二つ頭に」
なんという事だろうか、リュカは呆然とした。
(自分の子供が殺されてしまうだなんて!?)
「その、殺した人っていうのは!?」
「き、金色の長い髪の毛をしてた……」

その言葉を聞いてリュカは駆け出した、入り口の前の男に止められたが、それも振り切り。
駆けた、森の中をくまなく。
そして、見つけた、自分の子供の変わり果てた姿。
しかし、そのそばには誰も居ない。
リュカは泣いた、とめどなく、喚きながら、叫びながら、泣いた。

「……やれやれ、どうしたというんだ」
祠の入り口、先ほどの男が立っていた。
傍らにはちゃっかり少女もいる、少しは気分も収まったみたいだ。
「おい、金髪カッコマン!」
「……なんだそれは?」
「金髪で格好つけてるから金髪カッコマン!
 で、これからどうするんだ?」
いつの間にか主導権を握られている、男は頬をかきながら、少女を見る。
「さぁな、とにかくこうして拠点が出来たんだ、ここでしばらく活動したい」
「ふーん」
少女は気のなさげにゆっくりと座り、男を見上げる。
「それじゃああたしもそうする!あたし、リルム!」
「俺は、カインだ」
【リュカ 支給武器:パパスの剣 位置:O-05(王女の死体前) 行動方針:生き残っている仲間を探す】
【カイン 支給武器:ディフェンダー 位置:P-04(祠の内部入り口) 行動方針:しばらく祠で様子見】
【リルム 支給武器:? 位置:P-04(祠の内部入り口) 行動方針:カインと一緒に行動する】

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