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[No.43]
 ドッキリプラカード。
【登場人物】
アーヴァイン、ロック

ドッキリプラカードと赤いヘルメット。
まま先生、一体誰がどのような目的でこれを袋に入れたのでしょう?
このプラカードで敵を殴り倒せと?(そんなことやったらプラ板の方が折れるよね〜)
ヘルメットを被って逃げろと?(もう恰好の標的って感じだね〜)
むしろ本来の用途で使えと?(サイファー辺りにやったら殺されるね〜)

「……やっぱり、早いうちにどうにかして誰かから武器を奪った方がいいか」
様々な思考の末、その結論に達した僕は、待ち伏せを狙うことにした。
というよりも、武器がコレである以上正面切って戦うわけにもいかない。
幸いここは森の中。身を隠せるところは豊富にある。
そうだ、木の上なんて良いかもしれない。
高い所の方が見やすいし、人間ってのは頭上への注意は疎かになりがちだ。
よいしょっと。後はここで誰かが通るのを、しばらくの間待っていればいい……

……と思っている間に、早速人が来たようだ。
青いバンダナを巻いた、軽装の男。僕より少し年上だろうか? 何故か、犬を連れている。
武器らしいものは何も持っておらず、ぶらぶらと歩いている。
――きっと、武器はザックの中に入れっぱなしなんだろう。よーし、それなら……

僕は木の上から飛び降り、素早く男の真後ろに回り込む。
そしてドスを聞かせた声で言い放った。
「動くな」
僕の言葉に、男はごくり、と唾を飲み込む。そして狼狽を隠しきれない声で答えた。
「……随分と物騒な挨拶だな。言っておくけど、俺は戦う気なんてない。
 だからその剣をしまってくれないか?」
……もちろん、僕は剣なんて持っていない。
種を明かせば簡単で単純、普通の人ならバカバカしいと思うだろう。
彼の首筋に突きつけているのは、プラカードの角っこだ。傍から見れば恐ろしくマヌケな光景だろう。
ただ、プラ板といえ角は鋭く尖っているし、外気に晒されたお陰でひんやり冷たくなっている。
そして尖った、固く冷たい感触のモノを、死角から突きつけられれば……
大抵の人間は武器と考えてしまうだろう。まして、殺し合いという今の状況であれば。

「君がどんな武器を持っているかわからない以上、そうもいかないな。
 本当に戦う気がないなら、ザックを投げ捨てろ」
「その後で、殺すつもりか?」
「……それは君次第だ。今すぐ死にたいなら、それでも構わない」
笑いたいのを必死でこらえ、僕は出来る限り冷徹な男を装って言う。
彼はすっかり騙されているようだった。僕には演劇の才能もあるのかもしれない。

「………」
男はついに抵抗を諦めたらしく、肩に掛けていたザックを降ろした。
僕はプラカードを片手で固定したまま、開いた方の手でザックの中身を改める。
しかし……
「……ふざけるな。武器が入ってないじゃないか」
僕のセリフに、しかし男は鼻で笑いながら答える。
「武器? 武器ならあるぜ。あんたのすぐ傍にな!」
男の言葉と共に、すぐ足元でわおんっ!という吼え声が聞こえた。
「うわっ!」
突然、今までじっとしていた犬が飛びかかり、僕の腕に噛み付く。
僕はプラカードを落としかけ、男は一瞬の隙を見逃さずにザックを奪い返す。
そして……

「……って、をい……」

男はようやく僕の手に握られたモノに気付き、強張った声を出した。
……どうしよう、バレちゃったみたいだ。
僕は滝のような冷や汗を流しながら、思わずプラカードを掲げて回していた。

「ド ッ キ リ !」→「大 成 功 !!」

その直後、世界が凍りついたのは……言うまでもないだろう。
【アーヴァイン 所持品:赤いヘルメットとプラカード 現在位置:C−14
第一行動方針:夜の間は身を潜める 第二行動方針:仲間と合流する】
【ロック 所持品:トーマス(DQ4より、キツネ狩りが得意な犬) 現在位置:C−14
 第一行動方針:仲間と合流する】

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