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[No.5]
 当たるも八卦、当たらぬも…
【登場人物】
レオンハルト、ミネア

出発後、レオンハルトは地図とにらめっこしながら北に向かっていた、このまま中心部に向かうよりは、
いったん海岸に出たほうが得策だと思えたからだ。
島の最北端の岬が見えてくる、と、そこには海にせり出すようにバンガローが立っていた。
「ひとまず落ちつくか」
レオンハルトはバンガローの中に入っていく、中は荒れ果てており今にも崩壊しそうだ、
しかしそんな中にも人の気配……、だが殺気はない。
ぎしぎしときしむ廊下を抜けると大広間に出る、とそこにはフードをかぶった女性がテーブルに付いている。
まるで自分を待っていたかのように…手にはカードを持っている、その格好からみて女性は占い師のようだった。

レオンハルトは即座に構えを取るが、占い師は淡々とカードをシャッフルしていく。
「タロットが私の占い道具ですが、取り上げられてしまいまして、ここで見つけたトランプで
 代用させてもらいますね」
そういって占い師はテーブルにカードを並べ出す。
「占いを頼んだ覚えは無い…」
しかし占い師はレオンハルトの言葉を無視して、占いを続けていく。

「なるほど、自分で信じた道ですけど、最近はそれが誤りであったことに気がついている、このままだと…」
「やめろといっている!」
レオンハルトは思わずテーブルを蹴飛ばす、だが占い師は平然としている。
「それから、今宵あなたはこの地で重要な出会いがあると出てもいます…私のことではないでしょうか?」
「何だと?」
「私の占いは当たります」
あまりにも意外な言葉に戸惑いを隠せないレオンハルトに、占い師の少女はフードをめくり、微笑んで見せるのだった。

「なるほど…言い分はわかった、だが占い師ごときが俺をどうにか出来るとは考えない方がいいぞ!」
戸惑いながらも間髪入れずにレオンハルトは占い師の顔面めがけて蹴りを放つ、が、
占い師はあらかじめ予測していたかのように、鮮やかなバックステップで間合いを取る。
「自己紹介も無しですか、あ、私はミネアと申します…あなたは?」
「そんな物はこの場に必要はない!」

レオンハルトはなおも拳を振るうが、ミネアは逃げ回るばかりで相手にしようとしない。
「落ちついてください、このままだと私たちはあのピエロの思惑通り、殺し合いを演じることになります…
 そしてその結果あなたも、そして私も死ぬ事になるでしょう」
逃げながらもミネアは説得を試みる。
「ほう、随分自信が無いんだな、それも占いの結果か」
それを追いかけながらレオンハルトもミネアの言葉に反論する。
「私の占いは当たります…ですが、決まった運命ほど抗いたくなりませんか?」
「そういう奴を1人知っている…だが、1人で充分だ!」

戦いの場所は2階の古ぼけたバルコニーへと舞台を移しつつあった。絶壁に張り出したそれの下は
黒々とした夜の海が口をあけている。
1歩踏み出したレオンハルトの足元が、ぎしりと音を立てる、床が腐っているようだ。
床の割れ目から覗く海のうねりに、一瞬レオンハルトは前に進む事を躊躇する。
「バギ!」
その躊躇を見逃さず、ミネアの放った真空の刃がレオンハルトの行く手をさらに阻む。

ごうごうと吹き荒れる風の壁に守られ、ミネアはさらに説得を続ける。
「ばかばかしいとは思わないのですか!自分の意志ではなく他者の掌で戦う事を…
あなたの帰りを待つ人もきっといるはずです」

その言葉を聞いたレオンハルトの脳裏に在りし日の風景が甦る、平和な日々、親友、家族…そして、
だが、今の自分には望んでも取り戻せぬ夢にすぎない。
「黙れ、俺はもはや戻れん…戻りようがないのだ!」
そう叫んだかと思うと、レオンハルトはそのまま強引に風の刃の中へと飛び込んでいく
それにはミネアも驚きの表情を隠せない。
と、その時だった、元々老朽化していた、2人の立っていたバルコニーがバラバラに崩壊していく、
そして2人はなすすべもなく、遥か下方の海面へと落下していった。

あれからどれくらいの時間が経過したのだろうか?2人は流れついた砂浜ではぁはぁと息を荒くしている。
やがてミネアが口を開く。
「先ほどので確信しました、このままだとあなたは…破滅します、間違いなく」
「その前に生き残れば問題あるまい」

「無理ですね…」
「何だと?」
「あなたの拳には迷いがありました…今のあなたには、だれも殺せません」
その言葉にレオンハルトはミネアの頬を平手でうつ、無論、彼本来のパワーならミネアの顔面は砕けていただろう
しかしミネアはふらつきながらも言葉を続ける。
「悔しいですか?図星をさされて…ですが私は必ずこのばかげた戦いを止めてみせます、
 そのためにまずはあなたの運命から変えてみせます」

「勝手にしろ!」
「では勝手にさせてもらいます」
無意識の手加減に戸惑いつつ、ミネアの言葉を背後に聞きながら、レオンハルトは立ち去ろうとする。
しかしその背中を見る限り彼が迷いを抱えているのは明白だった。
【レオンハルト:所持アイテム:? 現在位置:I−02】
第一行動方針:?

【ミネア:所持アイテム:? 現在位置:I−02】
第一行動方針:レオンハルトについていく
第二行動方針:戦いを止める

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