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[No.6]
 弱者の言い訳
【登場人物】
サバロ、フリオニール、マッシュ、フライヤ

「ハァッハァッハァッハァッ」
全く何て自分は不幸なんだろう、サバロはぼんやりとそんな事を考えていた。
そもそも私の人生のけちの付き始めは勇者様に戦場に引っ張り出された事だろう。
勇者様は私の様な商人に一体何を期待していたのだ?腕っ節が欲しいなら戦士でも雇えば良いし私は呪文なんて使えないのに。
断わろうにも相手は王に任命された勇者だし、おまけにあのオルデガの息子、気の弱い私に断われる筈が無い、ああ、私は不幸だ。
まぁ、ほんの一寸だけ他の三人が頑張って倒したモンスターの財宝を分けてもらえたら嬉しいなとは思わないでもなかったが。
魔王を倒す(他の三人がだ、私はその間に彼等の為に魔王の持っているお宝の価値を計算しておいてあげる役目。)
旅の途中で私はとある老人の頼みを聞いてパーティから外れて町興しをする事になった、
勿論この老人を助けて勇者様の名声を上げる為に、決してパーティ内の白い視線に堪えられなくなったとかそういう事ではない。
装備に払う金の一部をこっそり着服していたという話は更に違う、あれはいざという時の為に蓄えておいてあげたのだ。
その後町興しにも成功し、私はそれなりに金持ちになれた、更には勇者様の探していたオーブの一つを発見する事にも成功した。
そういえばあの時の勇者様は随分御座なりに礼を言っていた気がする、一生懸命やっても認められない辺りやっぱり私は不幸なのだ。
そんな不幸な私でも商売はソコソコ上手く行き、漸く人並みの幸せを掴めると思ったその時、私は心無い人達のせいで牢に繋がれる事になった。
恐らく私の成功を妬んだ誰かの差し金に違いない、私はとっても不幸だ。
更にこんな所で殺し合えなどと基地外に命令されるとは、私は宇宙1の不幸者に違いない。
「ふう、」
漸く気の静まったサバロは自分の荷物を確認した、奇妙な形のアイテムで、一緒に付いていた説明書によるとMP5というらしい。
「ほうほう、これは……」

夢中になってそれを読んでいたいたサバロはふと、誰かの気配を感じて後をみた、其処にはサバロとおなじ首輪を付けた参加者が三人いた。
それぞれ認識してはいる様だが何をするつもりなのかはサバロには良く判らない。
どっちにしろ自分には勝てないと思いコッソリ逃げようとしたサバロだったが…

パキッ

小枝を踏み折ってしまう、背後の参加者達の気配が変わる、そしてサバロの思考も…
(殺される、殺される、殺される、殺される、殺される、殺される、……)
「うわあああああああああああああ!」
思わずMP5を手に立ち上がる、説明書を読んでた御蔭で取り扱いは解っている。
そのまましっかりと両目を閉じて引き金を引く、銃の反動で大きく左右にぶれるが気にしない、ただサブマシンガンの陽気な音に身を任せる。
「ハアッハアッハアッハアッ」
それからどれほどの時がたったのか……気が付いた時サバロはたった一人で其処に立っていた。
三人の参加者は既にただの肉塊になっている。
「わ……私が……私がいけないんじゃないですよ、これは皆さんが私を殺そうとしたから……いや、あのケフカって人が悪いんですからね!」
死体に漸くそれだけ言うと、サバロはアイテムを奪って姿を消した。
【サバロ:MP5(サブマシンガン)バックラー、消え去り草、M79グレネードランチャー
 現在位置F−14 第一行動方針:不明】

【フリオニール:死亡】
【マッシュ:死亡】
【フライヤ:死亡】
(残り74人)

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