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[No.11]
 黒尽くめの男
【登場人物】
ティファ、セシル

「………はぁ〜〜〜」
 水辺に腰掛け、大きくため息をつくティファ。幸いというか、塔を降りる途中では誰にも会わなかった。
 階段をしばらく降りていくと出口らしきものが見えたので、外に出てみたのだが…
「……泳いで行くしかないのかなぁ。でも、濡れちゃうとちょっと…」
 また一つ、大きなため息をつく。と、同時におなかが鳴った。
「………と、とりあえず何か食べようかな」
 顔を赤らめながら、ティファはバッグからパンを取り出し,もそもそと食べ始めた。
 そして、その様子を塔の入り口から伺う影が…

――なじみの塔 地下一階宿屋――
 黒尽くめのその男は、ベッドに腰掛けたままじっと座っていた。
 何故だ?確か俺は…あの山で……
「……うっ…」
 頭が割れるように痛む。『元の世界』のことを考えると頭に激痛が走る。さっきからずっとこの繰り返しだ。
 仕方なく男は、深く考えるのをやめた。
 その時、階段の方から誰かの声がした。
 女のものらしいその声は、すぐに遠ざかっていった。

「…………ローザ?」
 なぜか、そんな名前が思い浮かんだ。
 男はゆっくりと立ち上がると、階段を上っていった。階段を上り、光の差すほうへ進む。
 塔の入り口から外を覗くと、1人の髪の長い女が水辺に座っていた。しばらく様子を伺う。
 突然、女がこちらを振り向いた。
「………!!」

美味くないパンをゆっくりとかじっていたティファは、背後の気配に気づいた。
 警戒しながら、背後を振り返る。
 次の瞬間、ティファの身体は弾き飛ばされていた。
「…うぅっ!」
なにが起こったのかも判らぬまま、ティファは水面に落下していた。
 気を失う寸前に目に映ったのは、その手から黒い波動を放つ、黒尽くめの男の姿だった。

「……俺は、何を…」
 ローザではなかった。そうだ。知った顔でもない。気にすることは………
 黒尽くめの男…セシルは、ふらふらと塔の中へ戻っていった。
【ティファ→気絶
 ※武器以外の荷物を失う】
【セシル(暗黒騎士)
 武器:暗黒騎士の鎧
 現在位置:なじみの塔の宿
 行動方針:とくになし】

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