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[No.50]
 狂った父親
【登場人物】
リュカ、キスティス

しばし呆然と王女の亡骸の前でリュカは静かに王女の冥福を祈った。
そして、立ち上がるとパパスの剣を抜き、声を荒げる。
「誰だ、そこにいるのは!」
気配がビクリと緊張していくのがわかり、リュカはその気配の元へ一歩、また一歩と歩みを進める。
「ま、待って!」
木の間から出てきたのは金髪の利口そうな女性。
――金髪の。

「待って、ね、私は何もする気はないの。ただあなたに声がかけづらくて、本当よ」
早口にまくしたてられる言葉をリュカはただの雑音としか思っていなかった。
その虚ろな瞳は女性の髪だけをとらえている。

金髪の。 金髪の。 金髪の。 金髪の。 金髪の。
――金髪の女が女の子を殺した。

リュカは手にした剣を縦一閃に振り払う。
飛び散る血しぶきと女の片腕。
今度は横から斬り払う、幾多の戦いを乗り越えてきたリュカの剣の腕は、この時も冴え渡っていた。
千切れ飛ぶ頭と胴体、返り血も気にせず、リュカはとぼとぼと彷徨いはじめた。
(待っててねアニー、今から君を殺した女を地獄に落としてあげるから。)
気味の悪い微笑みを浮かべ、リュカは高らかに吼えた。

いつも温和なリュカの歯車はこの時から狂い始める。
【リュカ 所持品:パパスの剣 位置:O-05(王女の死体付近)】
第一行動方針:金髪の女を殺す
【キスティス 死亡】(残り 68人)
※キスティスの支給品はその場に放置です。

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