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[No.52]
 不思議な力
【登場人物】
ジタン、スタイナー

「なあ、おっさん…これ、夢じゃないよな…?」
「ジタン…。残念だが、現実だ」
「それじゃあ、ビビはもう帰ってこないのかよ…!」
ジタンと合流を果たしたスタイナーは必死で力なくうなだれるジタンをなだめている。
スタイナーもわけがわからない状況で泣きたいぐらいなのだが、
ジタンをこのままにしておくわけにはいかない。

ピシャッ!と乾いた音が響く。
スタイナーは、優しくジタンの頬を打った。
「お、おっさん…」
「ジタン、それなら闘うのだ!ビビ殿のような犠牲を出さないためにも、この殺し合いを止めさせるのだ!」
その言葉でジタンも、まだいつもの元気は取り戻していないものの、なんとか小さく声を出した。
「そうだよな、すまねえ」
立ち直ってくれたか!とジタンの肩を叩いてやる。

「こういう役はおぬしの役目なのだ!そのお主が自分より先に参ってしまってどうするか!」
そう言われてジタンが初めて微笑む。
「そう、だよな…!よし、この殺し合いを止めさせようぜ、おっさん!」
(全く、この男は不思議な奴だ。自分もなんだか嬉しくなってきたではないか…)
スタイナーもジタンにつられて笑った。

「さて、ではジタン!どこへ行こうか決めようではないか!」
スタイナーは張り切って自分のザックから地図を取り出す。
ボトッ、何か分厚い本みたいなものも落ちてきた。
「ん?これは――」
ジタンが拾ってパラパラとページをめくる。
一通り見終わったところでニヤリと笑って見せた。
「そ、それはなんなのだ?ジタン」
「これがおっさんの支給武器みたいだな…」
スタイナーに表紙を見せて手渡す。
「ムム…これはなんと…参加者の詳細データではないか!」
中には参加者の資料――せいぜい、使用できる魔法や、誰と誰がかつての仲間なのかなど…
――が載ってあっただけだが。それが全員分あった。さすがにゲーム中のデータは載っていないが。
「とりあえずこれはなかなか有効活用できそうだ」

「それよりジタン、どこへ向かうのだ?」
スタイナーはさっさと移動してしまいたいようで地図を広げている。
「う〜ん、この街にでも行ってみようぜ。誰かがいるかもしれないし」
その言葉を言い終らないうちにスタイナーが言葉をはさんだ。
「そうと決まれば街へ向かおう、ジタン!」
「おっさん、そっちは逆方向だぜ…」
こんなことで大丈夫なのか、とジタンは心の中でため息をついた。
【ジタン/スタイナー:所持武器 コッズガントレット/参加者詳細資料:現在位置 S−10】
 第一行動方針:街へ向かう。
 第一行動方針:ゲームを止めさせる。

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